『ルワンダ中央銀行総裁日記[増補版]』読んだよ

もう40年も前に書かれた本だが、古い話という感じは受けない。独立直後のルワンダの、まだまだ不安定で、それゆえに熱がある感じが伝わってきた。著者が自身の働きっぷりを自慢していて、その成果についても自画自賛なのである。著者とソリの合わない奴は飛ばされる、あるいは自ら失敗して表舞台から去る。読んでいるうちに、勧善懲悪ものの世界に馴染んできて、著者を応援しているのである。そいういう意味で、この服部正也という人はページターナーである。

書かれてることは…

もう恐ろしいくらい外貨がないぜ。技術顧問の外国人は使えんヤツが多い!自分は大統領から全幅の信頼を寄せられたぜ。他に信頼できるヤツがいないから、自分一人で計画を作ったぜ。保身しか頭にない嘘つき外国人の言葉には耳を貸さず、ルワンダ人と直接話をしたぜ。ルワンダ人のハウスキーパーはあてにならないぜ。やはり家のことは妻に任せるのが安心だぜ。中央銀行の枠を越えて、イロイロ頑張ったぜ。ルワンダ人商人のためにトラックの調達だってしたんだぜ。想定外の事件は起きたが、概ね計画通りかそれ以上の結果が出たぜ。とにかくコーヒー豆は大事だぜ。きったない身なりの農民たちが小綺麗になったぜ。

随所で欧米人をこき下ろしているが、そこには欧米人に対するコンプレックスが丸見えなのである。1918年に生まれ、東大を卒業後、海軍予備学生となり、終戦時は海軍大尉だった人であるからして、日本人としてのプライドも高いのであろう。「日本は世界の一等国である。その日本の中央銀行に20年もいて、海外でも仕事をしてきた自分であるから、欧米人とは対等に渡り合える。ルワンダ人は欧米人を崇めているが、欧米人は大したことない。」という気持ちが、結果として、ルワンダ人に寄り添う態度に結びついている。

ストレスを感じず、スルスル読める本だった。