たけちゃんForever(2)

初めて飼ったセキセイインコが逃げてしまってから数年後、我が家は引っ越した。小学校5年生の頃だ。

ワイルドなセキセイインコ

新しい家で再びセキセイインコを飼うようになった。名前は「てる」である。これについては、いったいおかあさんのセンスってどーよ?と思った。普通はピーちゃんとかそんな感じでしょ?普通がイヤなら、もっとおしゃれなのにしようよ。って。子どもの意見なんて全く聞き入れようとしないその自信はなんなのか?「てる」ってどっからきたの?

てるちゃんは、黄緑色ではあったが、最初のたけちゃんとは違い、少し濃い色で、身体もガッシリとして猛々しいセキセイインコだった。

実は、今回これを書くまで、二羽目に飼ったのは、後に我が家のアイドルとなる2代目たけちゃんだと思い込んでいた。でも、そうじゃないと急に思い出したよ。

お友達ができた

少しして、母が「お友達が必要だ!」と言い出し、突然、父に命じて車を出させ、弟を連れて、今度は水色のセキセイインコを買ってきた。自分は面倒くさいので行かなかった。てるちゃんのお友達には「まさ」という名前が、やはり母によって付けられた。「てる」とか「まさ」って、カッコ悪くて、学校の友人の前ではちょっと言えなかったよ。

まさちゃんは、あまり人なつっこくなく、人間にあれこれ構われるのが面倒くさそうだった。間違った記憶の中では、2代目たけちゃんの方が先にいた分、家族にもよく馴染んでいたから、後からやってきたまさちゃんの印象が悪かった、と解釈していたが、そうじゃなかったということも今回思い出した。てるちゃんが強すぎて、まさちゃんはオドオドしていたのだ。たぶん、てるちゃんは十分に大人になったオスだったのだと思う。まさちゃんはまだ幼かったのだ。

てるちゃんがいなくなった経緯はよく思い出せないが、たぶん、初代たけちゃんと同様、スズメと一緒に飛んで行ったような気がする。羽を切っていなかったので、家の中でもバッサバサと豪快に飛んでいたからなぁ。ワイルドなてるちゃんのことだから、外の世界でもある程度は生きたような気がする。そう思いたい。

新たなコンビ

まさちゃんがひとりぼっちになったところにやってきたのが、2代目たけちゃんだ。初代たけちゃんと同じく明るい黄緑色だったので、母が「たけでいい!」と言ったのである。

母はまさちゃんの性格を、気が強い、とか、ズルい、とか言って、あまり好きじゃなかったようだ。たけちゃんを邪険にしてたらしい。でも、今にして思うに、てるちゃんにいじめられていたまさちゃんは、新たな同居人(鳥)を警戒していたというところだったかもしれない。

まさちゃんとたけちゃんは、時々おしゃべりもしていたし、自分の記憶の中では、物静かなまさちゃん&愛嬌のあるたけちゃんは、いいコンビだったように思えていた。