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たけちゃんForever(4)

夢のこと〜spin off
  • まさちゃんがいなくなった後、母は別のセキセイインコを飼おうとはしなかったので、たけちゃん(2代目)は、人間の愛情をほしいままに、そして相変わらず籠の外で暮らしてゆくのである。
アイドルのたけちゃん

たけちゃんは、偶然身につけたすごい芸で我が家のアイドルとなった。

輪ゴムを口にくわえてみる。垂れ下がった輪っかの下の部分を右足で踏むと、ゴムがピンと伸びる。右足を少し上げるとテンションが緩む。これが面白かったらしいのだ、たけちゃんには。

床に輪ゴムをポンと放ってあげると、嘴にくわえて右足で踏んでから、左足を前に踏み出す&右足を上げる→ゴムが緩む→右足を前に踏み出す&左足を上げる→ゴムが伸びる→…を繰り返しながら前進するのである。フォーリーブスというグループが「にっちもさっちもどーにもブルドッグ!」でやっていたゴムバンドビヨンビヨンみたいな感じで歩くのだ、セキセイインコが。

※注:フォーリーブスとは、1970年代にワーキャー言われたジャニーズ事務所のアイドルグループで、名前の通り4人組である。2009年に青山孝史さん、2012年に北公次さんが亡くなった。

 

たけちゃんは、父の肩にとまるのが好きだったようだ。子どもの薄っぺらい肩より、幅があってがっしりしていて、くつろげたのだろう。そして、父がソファーに座って新聞を読み始めると、背もたれの方にピョンと飛び移る。少し経つと父の肩にピョンと戻ってくる。父は時々、たけちゃんが肩にいることを忘れて、一緒にトイレに連れていってしまうことがあった。

あわや水死?

ある冬の日、お風呂に水を張っていて、蛇口を閉めに行った父の肩に、たけちゃんはとまっていたのだった。おそらく、蛇口に手をかけようと急に姿勢を低くしたものだから、たけちゃんは飛び上がってしまった。で、バタバタバタっと、浴槽に落ちてしまったのだ。どれだけボンヤリしていれば、鳥がバタバタしたのに気づかずにいられるのか、わからない。無理に解釈すると、水の音がドドドっとうるさいので、たけちゃんのバタバタ音には気づかなかった(´・_・`)…たけちゃんが着水した時には、もう、視線が他の方に向いていた(´・_・`)…で、そのまま浴槽にふたをした((((;゚Д゚)))))))

父以外の家族のものは、父が肩にたけちゃんを乗せたまま浴室に行ったことを知っていたので、戻ってきた父の肩にたけちゃんがいないことにすぐ気づいた。

「おとうさん。たけは?」

「ふぅんん?たけ?」父は、そもそも、たけちゃんが肩に乗っていたことさえ気づいていなかった。

無言でお風呂にダッシュ。弟もすかさずついて来る。ガバっとふたを開ける。翼を広げてジタバタして、なんとか水面に浮かんでいるたけちゃんを見た時の衝撃たるや!グワッシとすくい上げる。たけちゃんは、大きく目を見開き、肩で息をしている。もう少しで体力が尽きて、水死するところだった。

あわや凍死?

もう、こんなことばっかり書くと、我が家では小動物を虐待してると思われるかもしれないが…

やはり、冬の休日のことだ。父が新聞を読んでいると、ドアチャイムが鳴った。お隣さんが回覧板を持ってきたのである。立ち上がって玄関に向かった父の肩にはたけちゃんが。ドアを開けたとたん、たけちゃんはバタバタバターーーッと外へ飛び出してしまった。父はどこまで飛んで行ったかなぁ、と諦めモードで、玄関の前をちょっと見やっただけ。自分は真剣に探したよ、初代たけちゃんのことが記憶に蘇ってきたからね。

冬の我が家の庭は、雪かきによって捨てられた雪と、屋根からドサッと落ちる雪とで、小さな雪山がいくつかできているのだが、その一つに、たけちゃんはいたのである。雪をかき分け、たけちゃんに近づき、突っつかれるからあまり指を出すのは好きじゃない自分であったが、指を差し出したよ。たけちゃんは、指に足をかけるやいなや、急いで腕を駆け登り、肩にとまった。怖かったのだろう。それに、雪は冷たかったと思う。あと少し発見が遅れていたら、凍死してたと思う。

無事に家に戻ったたけちゃんは、その冷え切った身体を弟の手のひらの中で温めてもらうなど、みんなにチヤホヤされて、幸せそうだった。