たけちゃんForever(6)

2代目たけちゃんが亡くなってから、さほど間を置かずに、別のセキセイインコがやってきた。身体は淡くぼんやりした黄色で、目が赤い。

今回、我が家のセキセイインコのことを書き始めてから、この子の名前を忘れていることに気づいた。どうしても思い出せない。

体が弱い子だった。我が家に来た時には既に何かの病気にかかっていたのだと思う。具合が悪いのか、とまり木の上にいることはなく、身体をプルプルと小刻みに震わせて、籠の床にうずくまっていた。そのうち、母が、ハンドタオルにくるんで、エプロンのポケットに入れるようになった。

 

両親と弟が出かけて、自分一人で留守番をしていた時のこと。その子をタオルにくるんであげた。ソファに座って、膝の上に乗せて、テレビを観ていた。やがて、家族が帰ってきた。タオルをソファのひじ掛け部分のすぐ内側に置き、立ち上がった。

家族と会話してと、母が、◯◯は?と言った。

はっ!ソファ!母がタオルのすぐ横に座っている。

おかあさんっ!そこ!タオルぅーー((((;゚Д゚)))))))

えええーーー?((((;゚Д゚)))))))

母は飛びのいた。
タオルの真上にどかっと座ってたわけではないが、ひじ掛けにもたれかかっていたので、母の腰とひじ掛けのわずかな隙間にタオルが挟まっている状態だった。
ほんの一瞬、母が、笑いをこらえてる時のような目をした。トムとジェリーなら、何かの下敷きになってペチャンコのぺーらぺら〜は、よくある場面だ。ここは笑うところだろう。母にしてみれば、自分がお尻で?あらヤダーもー!って、一瞬、可笑しくなっちゃったのだと思う。

自分は、何かに祈りながら、そっとタオルを開く。
潰れてはいない。眠っているようにも見える。でも、軽く揺らしてもピクリともしない。呼吸する時に胸が膨らんだりしぼんだりする動きがない。胸のあたりにそっと指を当ててみるが、鼓動が感じられない。

圧死したという感じではなく、たぶん窒息だと思う。

その子の亡骸は、父が庭の桜の木の根元に埋めた。

 

かわいそうに。自分のせいだ。
なんでソファに置いたまま、話しこんじゃったんだろう。
痛かったかな。苦しかったかな。怖かったかな。

考えても考えても、その子の本当の気持ちというか状態が分からない。分からなくても、ひたすら想像する。結論など出ない。だからもう自分を責めるしかない。今でも時々、その子がどんなに苦しかったか怖かったか考えて、自分を責める。→セキセイインコにエサをあげ忘れる夢〜同じ夢シリーズ2 - 履修届を出してないっていう夢

考えるのがそんなことばかりなので、名前を忘れてしまっていたことにさえ気づいていなかった。

今回、名前を覚えていないことに気づいたせいで、同じ夢シリーズに新たな夢が追加されそうな気がするなぁ。
いつかきっと名前を思い出して、何かの機会に書いてあげようと思う。