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たけちゃんForever(9)

3代目たけちゃんは弟のことが大好きだった。好きすぎて、発情してしまった。いや、別に弟のことが好きでなくても、お年頃ってことだったのかもしれない。

LOVE♡

弟の帰宅が遅いと、もー大変。
母が「もう寝なさい。」と、たけちゃんを籠に入れて、まぶしくないように覆いをかけているにもかかわらず、玄関のドアが開く音がすると、狂ったように鳴く。
ビュルリャービュルリャーッ!
ここから出せと、籠のフタを突っついてガチャガチャ鳴らす。籠の壁面の細い金属棒に取り付いて翼をバタバタする。

 

大好きなお方のお帰りである。

弟の肩にとまって、目を白黒させて、ブギューと言う。尻尾がググッと反り返る。おう、これはもう、弟を恋人だと思ってるね。母はちょっと笑いながら、「たけ。ハシタナイから止めなさい。」と言う。動物の発情に、ハシタナイもなにもないだろ。種の存続のシステムが自然と発動してるんだろうに。むしろ、発情対象にされた弟に対して、なんというか、どん引いたというか。弟の胸中はいかばかりだったか?いや。どういう意味か解ってなかったのかもしれない。

たまご!

そうこうするうちに、たけちゃんが卵を産んじゃったのだ。いやー驚いた。
言ってみれば、弟との愛の結晶だよ?白くて、大きさは森永チョコボールくらいか。きれいな卵だ。

たけちゃんは、初めて見る卵にびっくりして、嘴で攻撃した。殻が破れてしまった卵の中身を、ピチャピチャ食べていたので、これは良くないのでは?と思い、取り除いた。

しばらくして、また、卵を一つ産んだ。
今度もまた攻撃しようとするたけちゃんに、あろうことか、母が抱卵の仕方を教えてしまった。嫌がるたけちゃんをつかんで、卵の上に乗せたのである。
その日、学校から帰ってくると、たけちゃんが卵の上にしゃがんでいるではないか!
これまでは、夜寝る時と家族の食事中を除いて、ずっと籠の外で遊んでいたのに、片時も卵から離れない。でも、これ、いくら温めても孵らないんだよ?可哀想だよね?

2日間程抱卵していただろうか。やめさせた方がよくない?と母に言ってみた。
母が取り上げようとすると、手を突っつく。やっとのことで卵を取り上げることができた。

その後も1、2度産んだと思うが、すぐに取り上げた。たけちゃんは、何事もなかったように遊んでいた。