通算勝率7割について語ってみる

4/18現在で通算勝率7割超えの棋士を勝率の高い方から並べてみた。7名いた。

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棋士名/順位戦クラス*/生年月日/四段昇段/対局数/勝数/負数/勝率
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菅井竜也/B2/1992年4月17日/2010年4月  /  276/  203/  73/0.7355
近藤誠也/C2/1996年7月25日/2015年10月/    11/      8/    3/0.7273
羽生善治/(M)/1970年9月27日/1985年12月/1864/1341/521/0.7202⬅︎ココ
増田康宏/C2/1997年11月4日/2014年10月/    57/    41/  16/0.7193
青嶋未来/C1/1995年2月27日/2015年4月 /     39/    28/  11/0.7179
永瀬拓矢/C1/1992年9月5日 /2009年10月/   287/  203/  84/0.7073
千田翔太/C1/1994年4月10日/2013年4月 /   145/  102/  43/0.7034
※参考までに、斎藤先生は…
                B2/1993年4月21日/2012年4月 /   167/  116/  51/0.6946

*順位戦クラスは第75期。羽生さんは名人陥落したらA級。なお、防衛する予定
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で、18歳、19歳、20代前半の若者に混じって、なんかおかしい人がいることにお気づきだろうか?プロ入り30年で年齢45歳ってゆー。

勝率7割はスゴイよ!

同じ棋力の者同士が戦えば、勝ったり負けたりはほぼ同程度に起きる。奨励会という地獄のようなところをくぐり抜けてプロになったのだから、アマチュアの人たちの間の棋力の差と比べると、プロ間の棋力の差は(ないとは言えないが)僅かだ。その僅かな差が、勝率5割を少し超えるか少し下回るかの差になって表れる。

そんな中で、たとえ単年度であれ勝率が7割を超えるというのは、かなり強いってことで、そういう人は、順位戦竜王戦ランキングで昇級したり、他の棋戦も予選・本戦でシードされるようになる。例えば、表の中の青嶋さんと永瀬さんは、昨年度の順位戦C2組での勝敗・全公式戦の勝率がそれぞれ、9勝1敗・0.703、8勝2敗・0.750で、揃って昇級し、今期からはC1で戦う。

でも、上った先には自分と同じくらいの強さの人が待ち受けている(かなり強い棋士が1次予選の1回戦から出場して、下位の棋士から簡単に勝ち星をまきあげるということはない)わけなので、自分自身が格段の成長を遂げない限り、どうしても勝率は落ちてくる。そうこうして現役を続けているうちに、通算勝率は5割台に収束する。

 

天彦さんのように、A級に上がってもなお勢いが衰えず、いきなり名人挑戦っていうのは、むちゃくちゃ強いってこと。その天彦さんでさえ、勝率は、前年度0.695、通算0.6967だ。

ちなみに、斎藤先生は、昨年度の勝率が0.769で1位!順位戦もC1から今期B2に昇級!であるが、通算勝率は惜しくも7割に届いていない。

 

それほど、通算勝率が7割っていうのはスゴイことなのだ。
はい、ここまで、ガッテンしてくれますか?

だから、もう、いいじゃないか?

羽生さんはもう、こんなにスゴイんだから、あとはとことん好きなようにやってほしい。立場とか周囲の期待とか世間体とかスポンサーとか、世俗的なことは放っておいて、自由に。定跡とか前例とか将棋の歴史とか、他人が積み重ねてきたものからも自由に。
腹黒くなったっていいし(たぶんならないと思うが)、世間をお騒がせするような言動とかもアリだし(たぶんないと思うが)。野放しになった羽生さんを見てみたい。

 

ま、人の目をさほど気にしない、計算しない人ではあるよ。

名人戦の前夜祭で、天彦さんはおしゃれな靴なのに、羽生さんは足に優しいタイプの実用重視の靴だったり、椅子に深く腰掛けた際にズボンの裾が引き上げられて、靴下より上のナマ足部分が見えてたり。対局中、コーヒーをズズッて音を立てて飲んだり。だって、溶けたアイスを飲んじゃう人だからね。そーゆーの気にしないの、羽生さんは。名人位を傷つけてはいけないとは考えているだろうけど、名人はあくまでも将棋指しであって、聖人君子ってわけじゃないと思っているだろうな。
ヨーロッパのチェス大会も、会場内でスノーブーツ履いてた。将棋ファンが「これはあの雪の日の対局に履いてきたのと同じブーツか?」とかチェックしていようが関係ない。英語ペラペーラでチェスは日本人で1番か2番の強さだけど、文化人気取りでカッコつけたりお上品ぶったりなんてしない。(あ、セーターと腕時計には思い入れがありそうだが。)
若い頃、上座に堂々と座ってヒンシュクかったことがあったくせに、去年は、アレ?どっちだっけ?自分の方が下座?とか思って当時の糸谷竜王に上座を勧めて、若手を激しく動揺させたり。

すでに自由なのか?

 

さらには、自分の肉体から、あるいは、重力とか時間とか空間などの物理的な制限からも自由になれたらいいのにね。そしたら、羽生さんのことだから(それでもまだ「羽生さん」って存在があるかどうかはおいといて)、きっと将棋を完全に解明すると思うけどね。

 

しかし、自由に、好きなように、って言いながらも、名人だけは防衛してほしいし、竜王をあと1期でいいから獲ってほしいんだが。