『植物は〈知性〉をもっている』読みました(^ ^)

読み始めてからかなり経過してしまったが、ようやく読了した。

 

タイトルを見て、人間と同じように考えるとか、感情があるとか言っちゃって…マユツバモノ?スピリチュアル系?と誤解しちゃダメだ。
植物がどうやって生きているのかをざっくりとまとめていて、読みやすい。そういえば植物のことって動物ほどには知らないよなぁ、って人にうってつけだと思う。

そもそも、人間と同じような知性だけが知性なのか?知性って人間だけが持ってるものなのか?と問うところから、この本は始まる。
耳がない、鼻がない、口がない、脳みそがない、その場所から動かない…と、人間と同じかどうかを言い出したらキリがないくらい、植物の見かけや生き様はわれわれと大きく異なる。でも、知性を「外界の情報を受けとめて、問題解決に活かす能力」と定義すると、植物には知性があるのである…脳みそがなくても。

 

◆植物には、人間の視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に相当する「感覚」がある(実はもっとある)

例えば、味覚。

人間は舌にある受容体で特定の化学物質(糖など)を捉え、味として認識する。

ふむふむ。そうだよね。糖のように体にとって大事なものは甘くて美味しいので、積極的に摂取する。そうやって、生きるために何を食べるかを選びとっていくんだよね。じゃあ植物は?

植物はほぼ全身に(特に根っこに)受容体があり、リンなどの大事な物質を検知する。で、このあたりの土はリンが豊富だぜーって判ると、根っこが何本も伸びてくるのだという。そうやって痩せた土地でも生き抜いていく。

他の感覚についても、専用の器官がなくても外部からの刺激を受け取っていることが説明され、ふむふむなるほど…となる。

 

◆自分の内部の情報伝達や、他の植物との情報の行き来がある

内部の情報伝達?は?神経とかないじゃん?

だーかーらー、専用の器官がなくてもいいのだ。使うのは維管束。

おう。理科の時間に習ったね。根っこが吸収した水や養分を上へと運ぶ管と、葉っぱで光合成して作られた糖を体のあちこちに運ぶ管の2種類があったね。これは動物の循環器に相当するものだ(ただし、心臓(=ポンプ)はない)。その管を電気信号が伝わるのだ。人間が電気信号と並行して化学物質(神経伝達物質)を用いるように、植物も水に溶けた化学物質が管を巡ることで、情報を伝えている。脳みそを経由しなくても、葉っぱから葉っぱへと情報は伝わるのだ。

他の個体、他の種類の植物にも、情報を伝えているとのことだが、その辺りはまだ研究データが少ないらしい。

 

◆動物のように狩だってする

食虫植物としてはウツボカズラが有名だが、それ以外にも昆虫を葉っぱの毒でまいらせて、葉っぱの上の死骸がポロっと地面に落ち、やがて養分として土中に染み込んだものを根っこが吸収する。自ら移動できなくても、飛んで火に入る夏の虫的に、いろんな手段で虫を誘い込み、栄養を得ている。

 

 

そんなこんなで、植物は、専用の器官がなくても様々な刺激を感じ取り、生き抜くための情報として活かしているのであるからして、「脳という器官がないから知性がない」とはもはや言えないのだ٩( 'ω' )و

と、まあ、だいたいこういう内容の本だ。確かに、植物スゴイよ!


あくまでも、知性を「外界の情報を受けとめて、問題解決に活かす能力」と定義した上でのお話で、植物だって数学の計算ができるとか作曲できるとか絵を観て泣くとか言ってるわけではない。
でも、あの日、進化の道のりの別れ道で動物とバイバイしてからの植物が、ただ突っ立っているだけの、ヘタすると生物と言えば動物を意味しちゃうほどマイナーな存在になってしまっていることへの愚痴があちこちに見られるのは面白い。