散歩 その2

◆実は、方向音痴なのだ

二つの大きな通りが交差するところにある建物って、それぞれの通りに面して出入り口があるよね。2つとも同じような造りだから、入ったときとは異なる方から出ちゃう。自分が思ってる方向と90度違うわけですよ。それで歩き出しちゃうので、駅なんか絶対に見つからないわけです。
デパートで、隣のブロックに建つ別館が上の階の連絡通路で繋がっていることがある。本館と別館を行ったり来たりしながら買い物をして、知らず知らずのうちに別館から出ちゃったら、もうアウトだΣ(゚д゚lll)

太陽が見えてさえいれば大丈夫なのだ。ふむふむ、あっちが南ね。で、頭の中で地図を思い浮かべて、よし、こっちだ!ってわかるのです。しかし、天気が悪かったり夜だったり、あるいは周囲の建物に空が遮られている(往々にして都会はそういうところだったりする)と、無駄にグルグルしちゃうのである(>_<)

 

ああ、地図が読めない人っていう、アレでしょ?

ちがーう!地図は読めるのだ。上下逆さまにしようが、ちゃんと分かるんですよ。

 

◆肝心の自分がいる位置と向きが分からないのだ

それなのに、以前は果敢に散歩していたのだ。まあ探検、というか冒険だね。しかも、よりによって日曜日の夕方になると無性に冒険したくなる。

自宅から北の方向にあるエリアを目指す。あの辺でラーメンでも食べて帰ってこようっと!北に向かって歩き、途中で少しだけ西向きに進み、再び北に方向転換だ。

「あ、でもこの道、少しカーブしてるから修正ね。」

左の脇道に入ってみる。実はその時点でもうとんでもない方向に進路をとっていたりすることに、全く気づいていない。ぐんぐん歩く。

「アレ?おかしいな?」

下町の住宅街。大きな道もない。スーパーもコンビニもない。秋の日は釣瓶落とし。いや、冬だ。冬の日はかかと落としだ。暗い。家々の玄関先の住所表示のプレートもあるのかないのか、とにかく見えない。

「うーん。どこだここは?」

気が急いてしまって、200メートル歩いて右折、150メートル歩いて右折…というように、軌道修正の間隔が短くなる。どういうことになるか?そう、渦巻きの中心に向かって歩くことになる。これじゃいかん(><)と、今度は左に曲がってみるのだが、道がカーブしているのみならず、直角に交差していないせいで、軌道修正どころか、どの方角を向いているかさっぱり分からなくなっている。

自宅を出発してから1時間以上は経過している。本当は完全に迷い子なのだが、それを認めたらおしまいだ。あくまでも冒険がちょっと失敗しただけだよ。

「タクシーで帰ろっか?」

狭い路地だからタクシーなんて通らない。ってか、タクシーが通るような道ならば、現在位置のヒントになるようなものも何かしらあるはずだ。ってか、ラーメンはどうなったんだ?みんな家でサザエさんを観ているのか夕食を食べているのか、だーれも外を歩いていない。

「交番とかないの?マジここどこ?」

腹をくくって、ひたすら道なりに歩く。東京であれば、環状に大きな道路が走っている。

汗ばむほどの早歩きをしている…と、前方に近所の学校が見えてきた。毎日見てるのに、ああ何故かとても懐かしい(*´꒳`*)

しかし…自宅のすぐ南にある学校だよ?
もしかして、北を目指して出発して南から帰ってきたってことでいいのかな?

地球一周かっ!

 

そういえば、霊園に迷い込んだときは泣きそうになったなぁ(><)

 

まあ、こういうことが何度かあって、冒険するのはやめたよね。来た道を後戻りするという勇気ある撤退が自分にはできない。ちょっと曲がって修正!と思って墓穴を掘る。

 

◆今はタブレットスマホの助けがある

マップに現在の自分の位置が●で常に表示されているから、どこへでも行ける、というか、どこからでも帰って来られるようになった。先日だっていきなり護国寺に行けたのだ。なんの予備知識もなく思い立ったらすぐに旅に出られる。

いつでも冒険できる。いい時代になったよ。